臍下丹田呼吸法
臍下丹田呼吸法
普段何気なくしている呼吸。
しかし、少し意識するだけで健康維持に大きな効果をもたらすことができるのです。
特に、腹式呼吸の中でも効果の高い「臍下丹田呼吸法(せいかたんでんこきゅうほう)」をおすすめします。
丹田の語源
中国で昔から不老長寿の薬として「丹薬」というものがあるという考えがあります。
「丹薬」を栽培する田畑という意味で、「丹田」という言葉ができました。
臍下丹田の場所
丹田は、古来から、臍下三寸の位置にあると言われていました。(一寸は約3cm)
現在では臍下5cm程度と言われています。簡単にいうと、臍より下の下腹部と考えて良いでしょう。
臍下丹田呼吸法の歴史
丹田呼吸法はいつごろどのように生まれたのでしょうか?
丹田呼吸法の原型は今から2500年程前に釈迦が悟りを開かれたときに展開されたといわれています。
釈迦の教えに、「正しい呼吸こそは悟りへの道」というのがあります。
「大安般守意経」の中には、呼吸について様々な効果があることを教えています。
「釈迦がある時、祇園精舎で多くの弟子を集めて正しい呼吸の重要さについて話された。
出息入息を念じつつ行なうならば、おのずと下腹部の充実した丹田呼吸になっている。
この呼吸法は眼も疲れず病まず、そしてものの観方、考え方が深まるままに楽しい生活ができ、後で悔を残すような楽しみに染まらないことを覚えるであろうと。
かように出入息法を修行するならば大いなる果と大いなる福利を得るであろうと。
かような呼吸によって深く禅定に進み行けば慈悲の心を得、迷いを断ち、證に入るであろうと。」
この呼吸法については、釈迦が仏教の開祖でその後仏教が発達するにつれ、呼吸法も改良され今日に至っているわけです。
日本でもこの呼吸法は、寺院の修行の場で受け継がれており、丹田呼吸法を普及させているお寺もあるくらいです。
実は難しくない呼吸法
丹田呼吸というと、難しい特別な呼吸法だと思っていませんか?しかし、決してそんなことはありません。実は赤ちゃんはみんな丹田呼吸の実践者なのです。
もともと丹田呼吸は大人の知恵で考え出されたものではなく、無心の赤ちゃんの時にすでに行なっているのです。
そのため、この丹田呼吸は極めて自然なものであって、赤ちゃんの実行しているこの丹田呼吸を成長後も続けていれば良いのです。
脳と病気と呼吸の関係
脳の働きと呼吸
今あなたはこのページを開きました。目で文字を読んでいますね。それらの行動は、脳からの指令で行われているのです。
脳は、私たちの体の中でとても大切な働きをしています。そして、そのとき脳では大量の酸素が消費されます。
ヒトが酸欠状態になった時、はじめにダメージを受けるのは脳であり、それほど脳は常に多くの酸素を必要としているのです。
当社では、「ヒトの病気の原因は脳細胞の酸素の欠乏にある」と考えています。
ストレスやはげしい運動により、脳は大量の酸素を消費します。それにより脳内の酸素が不足すると、脳の正常な働きが低下し、ホルモンや酵素が正常に作られなくなります。
続いて、消化機能や内臓機能、神経機能などのバランスがくずれ、様々な病気の原因になるのです。そのため、正しい呼吸により生命活動に必要十分な量の酸素を脳へ供給し、活性化することが非常に有効だと考えられます。
酸素が十分にあれば脳からの指令が体の各部位に正常に伝わり、それぞれの内臓はきちんと機能することができます。
その結果、病気は回復して、健康な人は更に健康を増進できるでしょう。
また、呼吸には自律神経をコントロールする働きもあるため、呼吸が浅いと不安感が強まったり内臓が弱まり病気になることもあります。
このように、脳と病気と呼吸には深い関わりがあるのです。
胸式呼吸と腹式呼吸
ひとくちに呼吸と言っても、様々な呼吸法があります。その中でも、まず大きく2つに分けられます。「胸式呼吸」と「腹式呼吸」です。
胸式呼吸
胸でする呼吸で生理解剖的にみれば胸郭を拡大するために働く筋肉群の収縮と弛緩で行なわれます。
ろっ骨の間の筋肉(ろっ間筋)を伸び縮みさせ、肺を横に広げることで空気を吸い込みます。横隔膜はほとんど動きません。
普段意識せずに行っている呼吸はこの呼吸になります。
腹式呼吸
腹式呼吸は、横隔膜(おうかくまく)の上下運動によって行なわれます。
肺の下にある横隔膜を下に下げることで肺に空気を吸い込みます。
胸式呼吸では、ろっ骨があるため、筋肉はそれほど大きく伸び縮みすることができません。
それに対して腹式呼吸では、横隔膜を大きく上下させることができるため、より多くの酸素を肺の底まで吸い込むことができます。
さらに、肺底に残っている汚れた酸素を入れ替えることもでき、また、横隔膜が上下することで、内臓のストレッチにもなります。
臍下丹田呼吸法とは
当社では、腹式呼吸の中でも、特に「臍下丹田呼吸法(せいかたんでんこきゅうほう)」をお勧めしています。
臍下丹田とは、臍(へそ)の下の丹田(下腹部)と呼ばれる部位のことで、広辞苑にも「臍下丹田に力を入れると健康と勇気を得る」と説明されています。
昔から「腰で動け」とか「下っ腹に力を入れろ」などと言われていますが、これらは全て「臍下丹田を中心に動作しろ」という意味です。
丹田呼吸法の原型は今から2500年程前にお釈迦様が悟りを開かれたときに展開されたと言われています。
このように、臍下丹田呼吸法は昔から非常に重要視されていたことがわかります。
臍下丹田呼吸法の効果
臍下丹田呼吸法は、横隔膜を大きく上下させたり丹田(下腹部)に力を入れる方法で、息を吸い込み、下腹部に力をこめてからゆっくりと息を吐き出す呼吸法で、強い腹圧を伴った呼吸型といえます。
自律神経のアンバランスを防ぎ、生体内における各種ホルモン系を調整し、その調和を保ち、すぐれた内臓の強化法ともいえます。
心身ともにたくましい生活力を湧き出させる源泉であり、原動力です。
通常の腹式呼吸よりもさらに健康なカラダ作りに役立つ効果を得ることができると考えられています。
- 肺の底まで酸素が入ることにより、新鮮な酸素を血管の中に送り、不要な炭酸ガスを血管から肺に戻す、ガス交換をスムーズにする。
- 横隔膜を上下させることで、肺や内臓を強化する。
- 下腹部に力を込めることにより、腸内細菌叢のバランスを良くして腸の調子を整える。
- 腸をストレッチするので、その刺激でお通じが良くなる。
- 代謝を上げて体脂肪を燃やすことで、ダイエット効果が期待できる。
臍下丹田呼吸法の色々な効果
臍下丹田呼吸法を実践してみよう
「臍下丹田呼吸法」の行い方を説明します。
姿勢について
背筋をまっすぐ伸ばして座ります。正座、あぐら、椅子に座って行っても構いません。
両腕は体と平行に伸ばして、手のひらは下向きにします。
慣れるまでは、寝た状態で両手を下腹部に当て、お腹がふくらむ感じを意識しながら呼吸すると簡単です。
息を吐ききる
STEP01
肺に残っている汚れた息を全部吐ききることが大切です。
息を吸い込む
STEP02
鼻からゆっくり息を吸い込みます。肺ではなく下腹部で空気を吸い込む感覚で、肺底までいっぱいに吸いましょう。
息を止める
STEP03
下腹部に力を込めて、5秒から10秒程度息を止めます。吸い込んだ息を全身に放散させる感じをイメージしましょう。
息を吐き出す
STEP04
口から静かに息を吐きながら、下腹部の力を静かに抜きます。息を吐ききった後、息苦しいようなら小さな呼吸を1つしてください。
終わりに
この呼吸法を朝と夜、最低20回繰り返しましょう。1日のうちに何回かに分けて行ってもかまいません。
はじめは難しいかもしれませんが、続けるうちに徐々に慣れてきます。
少なくとも4ヶ月位、毎日根気よく続けてみましょう。きっと良い結果を体感できるはずです。